リキオは、ムックにとって
厳しくも優しい教育係のような存在です。
「ここから先はまだ早いよ」
「このくらいの距離がちょうどいいよ」
そんなふうに教えているように見えることがあります。
遊びたい盛りのムックが
距離感を間違えると、
リキオはすぐに「シャー」と叱ります。
けれどその一方で、
時々リキオはムックを
とても丁寧に舐めてあげることがあります。
……なぜか少し怒っているように見えることもありますが。
「もう、しょうがないなぁ」
そんな声が聞こえてきそうな、
なんとも不思議で微笑ましい光景です。

低い唸り声を上げつつ、丁寧に、丁寧にムックを毛づくろいしてあげるリキオ。
口から漏れる「ウゥゥ〜」という音とは裏腹なその様子に、
二人にしか分かりえない距離感があるのだなと心ほっこりする時間でもあります。
それは短い時間ではなく、
長いときには二十分、三十分と続くこともあります。
ムックの毛が
びしょびしょになるほど舐め続ける姿を見ると、
その厳しさの奥にある優しさを感じます。
リキオなりのやさしさがあって、
リキオなりの教え方がある。
厳しさの中にも、
ちゃんとやさしさがある。
猫たちの関わりを見ていると、
優しさにはいろいろな形があるのだと思わされます。
リキオのその姿は、
「しょうがないなぁ」と言いながら
世話を焼いているようにも見えて、
見ているこちらまで
やさしい気持ちになります。
じっと身を任せるムックの姿にも、
また別の愛らしさがあるように感じます。
宵音日記


じっと待つムックの時間 | 宵音日記
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